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さぬき美探訪

VOL.204 2016年11月3日

版画の技法 -ピカソ、マティス、カンディンスキーからウォーホルまで

ワシリー・カンディンスキー
«小さな世界Ⅶ»1922
 
 

版をつくり、紙や布などに転写する方法で複数枚の絵画を制作する技法―版画。古くから画家たちはその技法を用い、様々な作品を残しました。板を彫って凸版にするのが木版画、削りとった凹部にインクを流しそれを刷りとる銅版画、平版上の化学変化を利用した石版画等が技法として挙げられるでしょう。紙に印刷されるのが最も一般的ですが、布や木のほか様々な素材が支持体となり、その組み合わせによっても新たな表現が生まれます。

高松市美術館では、「20世紀以降の世界の美術(版画)」をテーマに版画作品を収集してきました。開催中の常設展「版画の技法-ピカソ、マティス、カンディンスキーからウォーホルまで」では、高松市美術館のコレクションから選りすぐり約15点を展示、版画の技法による表現の差異を感じていただきたいと思います。今回は、その展示作品の中から数点を紹介しましょう。

まずは、ロシア出身の画家で、20世紀抽象美術の先駆者と呼ばれるワシリー・カンディンスキー(1866-1944)による版画集«小さな世界»(1922)。本作は、石版(リトグラフ)、木版、銅板(ドライポイント)によるそれぞれ4点、計12点の版画集です。作者のカンディンスキーが、ソ連からベルリンに戻り、ワイマールのバウハウスで教鞭を取ることになった1922年に制作されました。

図版は«小さな世界Ⅶ»で、木版の作品です。彫り残された黒地部分にも木版の風合いが感じられ、同じ多色刷りで黒地の«小さな世界Ⅲ»リトグラフと比較すると技法の違いを楽しむことができるでしょう。カンディンスキーは1926年に出版した著書『点、線から面へ』において技法の違いによる効果の差異について説明しています。木版ではしっとりとしたぬくもりが、リトグラフ等の石版では明快さが、ドライポイントでは鋭い繊細さが得られることを述べました。技法の違いから生まれる特徴に加え、曲線、直線、多角形、円など線と面を自由に組み合わせ、画面にリズムを生み出すことによって、12点それぞれの「小さな世界」を画面に形成しています。

アンリ・マティス「道化師」
«ジャズ»1947

次に紹介するのは、フォーヴィスムのリーダー的存在であり、美しい色彩と大胆な構図による装飾性のある絵画で知られる20世紀フランスの巨匠、アンリ・マティス(1869-1954)による«ジャズ»(1947)です。サーカス、民話、旅行などをテーマにした20点の図版とテキストからなる挿絵本で1947年に出版されました。原画は彩色した紙をはさみで切り、のりで貼りつける切り紙絵であり、印刷する際にはステンシル(型紙刷り、仏語ポショワール)の技法で原画と同じ絵具を使用し鮮やかな色彩を再現しています。また文章はマティス自身の筆跡によるもので、その特徴的な文字たちを挿絵とともに楽しめます。

そのほかにも、銅版画の一種で金属の版を薬品で腐食させ線を生み出すエッチングで窮状に喘ぐ盲目の男とその愛人を表現した、パブロ・ピカソによる«貧しき食事»や、同じく銅版画であるアクアチントという技法が用いられたジョアン・ミロの«岩壁の軌跡Ⅳ»も展示。前者は、エッチングの硬質で細い線が効果的に働き、描かれた二人の骨ばった手首やどことなく影を落とした表情が巧みに描出され、後者は線ではなく面で版を作ることができるアクアチントによって、銅版画でありながら鮮やかな原色を配したミロらしい作品に仕上がっています。

版画は、同じイメージが複数制作されるものとはいえ、版が押し付けられた跡や紙の風合いなど、実物でしか楽しめない魅力があります。ぜひ、展示室で画家たちが小さな紙の上に作りだした世界に浸っていただきたいと思います。

高松市美術館 学芸員 石田 智子

高松市美術館 学芸員 石田 智子

2016年度第4期常設展
「版画の技法-ピカソ、マティス、カンディンスキーから
ウォーホルまで」

【と き】 12月25日(日)まで
(前期:11月27日(日)まで、
後期:11月29日(火)~12月25日(日)
【ところ】 高松市美術館常設展示室1
高松市紺屋町10-4
【料 金】 一般200円、大学生150円
65歳以上・高校生以下無料
地図

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さぬき美探訪とは

美術館や博物館の学芸員と野菜ソムリエが香川が誇る「美」と「味」をご紹介します。



讃岐を歩く

寒霞渓と並ぶ小豆島の景勝地、銚子渓。この渓谷にある「自然動物園 お猿の国」では、約500匹の猿が戯れる。子猿の愛くるしい表情がなんとも言えない。冬の風物詩「猿団子」も見ものだ。

Photo:T.Nakamura

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