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プライムパーソン

VOL.213 2017年3月16日

うどん一杯一杯に情熱と元気を注ぐ ウエストフードプランニング 社長 小西 啓介さん

こだわり麺や1号店の丸亀田村店=丸亀市田村町

「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」。ウエストフードプランニングが運営する讃岐うどん店「こだわり麺や」では、スタッフの威勢のいい声がいつも店内に響き渡る。

マレーシア・クアラルンプール近郊で
営業するこだわり麺や・ワンウタマ店

「大好きなうどんで世界を元気にしたい」。そんな大きな目標を掲げ、小西啓介さん(45)は1998年、26歳の時に脱サラし、丸亀市でこだわり麺やを創業。1号店のオープンから20年足らずで県内に12店舗、マレーシアに3店舗を展開する香川屈指のうどん店チェーンに育て上げた。しかし、「ずっといばらの道を歩いてきました。今でも悩んでばかりです」と打ち明ける。


自信満々で出した2号店は赤字続き。初めての海外進出にも失敗した。100店舗の出店を目指し社員を鼓舞したこともあったが、やがて「規模や店舗数を追うことだけが正しいのではないと気づかされました」

この店に来れば元気になれる。そう言ってもらえる店をつくりたい。

小西さんは信頼するスタッフたちと共に、お客さん一人一人、うどん一杯一杯に情熱と元気を注いでいく。

「大切なのはリーダーシップとお客さん目線。スタッフやお客さんに応援してもらえるリーダーを育てるのが私の最大の課題です」

創業以来、小西さんは人材の育成に心を砕いてきた。きっかけになった苦い記憶がある。1号店のオープンから3年後、2号店を出した時のことだ。「0を1にするのと1を2にするのは1つ増えるだけ。だから要領は同じだと思っていました。でも、全く違いました」

1号店では四六時中、自分が掛かりっきりになれた。しかし2店舗目となると誰かに任せなければやっていけない。創業時から二人三脚で店を支えてくれていたパートナーに店長を任せた。「全面的に信頼していたので『絶対にいける』という自信がありました。でも、彼の良さを私がうまく引き出せませんでした」

オープン直後から2号店は回らなかった。客は入らず、スタッフも一丸になれない。やがて店長は目標を見失い、開店からわずか2カ月で小西さんのもとを去った。「私が経営者になりきれていませんでした。店長不在のまま赤字は膨らみ続け、まるで地獄のような日々でした」

自分自身が経営者として成長すると同時に、店を引っ張っていくリーダーを育てなければならない。スタッフのモチベーションを高めようと「5年で100店舗を出す」という目標を立てたこともあったが、「数字で示すのは分かりやすい手法ですが、100店舗を目指す燃えるような情熱はそう簡単には生まれない。なかなか思うようにはいきませんでした」

そこで小西さんはユニークな試みを始めた。将来店長を目指すスタッフを対象にした「チャレンジ店長制度」。指導は「パートのおばちゃん」にお願いした。「私が1号店の店長だった頃、お客さんやいろんな先輩方に助けられました。でも一番に育ててもらったのはパートさんだったんです」

売上が伸びず、スタッフも次々と辞めていき、「どうすればいいのか・・・・・・」と途方に暮れていた時期があった。そんな時、パートさんにこう言われた。

「店長、みんなでやるしかないやん」

ハッと目が覚めたと当時を振り返る。そのパートさんも以前大阪で商売をやっていて、苦しい時期を乗り越えた経験があったそうだ。「魂がこもっていました。一生忘れることのない言葉ですね」

チャレンジ店長制度は半年間、ものづくりへの姿勢や接客態度、仲間にきちんとした挨拶ができるかなど、13項目を毎月パートさんがチェックする。「大半が『心』を問う項目です。心が備わらないと誰も応援してくれませんから」

ウエストフードプランニングでは、本社に構える麺工房で全店舗分のうどん生地を一括製造している。しかし、「同じ生地と同じレシピの出汁でつくっても、各店で同じ味のうどんにはならない。つくり手の思いで味は良くも悪くもなる」というのが小西さんの信念だ。

うどんの生地を肌で感じ取れる人間になってほしい。パートさんの気持ちが分かる人間になってほしい。約200人のスタッフを率いる小西さんの願いだ。

公務員の家庭に生まれたが、小学生の頃には「将来は社長になる」と決めていたそうだ。「そもそも自信過剰に育てられたんですかね。うちの親は私がやることを否定せず、いつも応援してくれていましたから」

食肉卸会社に勤めたことがきっかけで飲食店経営に興味を持ち、「うどん店か焼肉店かで迷いましたが、結局は自分が一番好きなうどんでやっていくことにしました」

創業当時は県外からうどんツアー客が押し寄せるようなブームはなく、軌道に乗るには時間が掛かった。「うどんづくりの経験もなく、老舗の製麺所で3カ月修業して出店しました。でも、それだけの修業ですぐに結果が出せるわけがなかった。粉をあれこれとブレンドしたり、出汁や仕込みの流れを見直したり、独立してからが本当の修業でした」

少しずつ店舗を増やしていき、2007年には悲願だった高松市への初出店を果たした。店長にと目を付けていた人間を深夜のドライブに誘い出し、峰山の中腹から市街地の夜景を一緒に眺めながら、「県庁前に店を出して、この光のもとに集まっている人たち全員を元気にしたい。店長をやってくれないか」と口説き落とした。

13年には台湾に進出。だが、わずか2年で撤退に追い込まれた。「信仰深い台湾では、神仏を拝む『拝拝(パイパイ)』という習慣があり、旧正月などは人が町に出なくなるので店を営業しても意味がない。そういった文化がリサーチできていなかったうえ、現地のパートナーとも良好な協力関係が築けなかった。すべて私の過信が招いた失敗でした」

創業からまもなく20年目に入る。こだわり麺やは全15店舗で年間200万人以上が訪れる人気店になったが、「自信と過信の繰り返しでここまで来ました」と苦笑する。

中国産野菜の残留農薬が問題になったのを契機に、10年程前にファーム事業にも乗り出した。坂出市内の約3ヘクタールの農場で、米、ネギ、タマネギやナスを生産。店で出す天ぷら用の野菜などを賄い、3年前には日本農産株式会社として法人化した。さらに、出汁用の砂糖にはすべて希少糖を使っている。「お客さんの健康を考えて、という極めてシンプルな理由からです。毎日お店に来てくれる人もいる。費用はかかりますが、それ以上に大きな責任があります」

ネギやナスを栽培する麺やファーム林田農場
=坂出市林田町

社会から必要とされなければ会社を継続させることはできない。必要とされるとはどういうことなのか。それは人を育て続けることだ、と小西さんは断言する。「私たちがいくら頑張っても、恐らくそれほど大したことはできません。でも、一生懸命やっていれば次の世代を育てることに繋がっていく。そこに私たちが頑張り続ける本当の意味があると思うんです」


思い描いている壮大な夢がある。「農業のテーマパーク」だ。

生まれ育った坂出市は年々人口が減り、幼稚園や小学校の統廃合も進む。「廃校になった校舎を温泉や民泊の施設に再利用し、農業をベースにした新たな職・育・住の空間をつくりたいと思っているんです」。農業で故郷を元気にしたい。10年後の実現を目指し、小西さんは地元の仲間たちと少しずつ計画を練っている。

編集長 篠原 正樹

  • 1971年 坂出市生まれ
  • 1993年 香川大学商業短期大学部 卒業
    日本フード株式会社 入社
  • 1998年 こだわり麺や 創業
  • 2003年 有限会社ウエストフードプランニング 設立 代表取締役
  • 2012年 アジア人材開発事業協同組合 理事長
  • 2014年 株式会社ウエストフードプランニング 設立 代表取締役
    日本農産株式会社 設立 代表取締役

所在地
丸亀市田村町1243-1
TEL:0877-21-2580/FAX:0877-21-2581
設立 1998年6月
資本金 2500万円
従業員数 200人
事業内容 直営うどん店「こだわり麺や」運営
(県内12店舗、マレーシア3店舗)
うどん生地製造・販売 他
地図
URL http://www.westfoodplanning.com/

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讃岐を歩く

寒霞渓と並ぶ小豆島の景勝地、銚子渓。この渓谷にある「自然動物園 お猿の国」では、約500匹の猿が戯れる。子猿の愛くるしい表情がなんとも言えない。冬の風物詩「猿団子」も見ものだ。

Photo:T.Nakamura

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