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プライムパーソン

VOL.219 2017年6月15日

TSO International香川オフィスに隣接する萬燈珈琲店=高松市国分寺町

6月6~8日の3日間、東京ビッグサイトで開かれた国際展示会「Tokyo Cafe Show 2017」。コーヒー、ベーカリー、ピザやパスタなどの食品関連企業から調理器具メーカーまで全国から344社が出展し、国内外からバイヤー3万2000人以上が詰め掛けた。

この展示会を企画・運営したのは高松市国分寺町に本社があるTSO International。社長の佐々木剛さん(42)は「展示会は一つの街が動いてやってくるような感覚」と表現する。「商材やビジネスモデルを買いに来る人、人的ネットワークを作りに来る人など展示会の活用の仕方は様々。わずか3日間ですが、何百億というお金やビジネスが生まれます」

6月6~8日に開催されたTokyo Cafe Show 2017。(右写真)展示会を企画・運営した
TSO Internationalのスタッフ。前列中央が佐々木さん=東京都江東区有明・東京ビッグサイト
 

佐々木さんにはいくつもの顔がある。TSO香川オフィスの隣りには、400年続く浄土真宗の寺院「眞教寺」と、古民家を改装したカフェ「萬燈珈琲店」がある。

国際展示会会社社長、眞教寺15代目住職、カフェのオーナー。佐々木さんは二足ならぬ三足のわらじで、香川から世界を相手にダイナミックなビジネスを仕掛けていく。

「得意分野は、スポーツ、食品、冠婚葬祭、レジャーの4産業です」

TSO Internationalが手掛ける展示会は、東京や大阪など都市圏を中心に年間20本。ブース出展企業からの出展料を元手に、会場の確保や設営、集客のためのイベント企画や広報など展示会運営のすべてを仕切っている。

毎年夏に東京ビッグサイトで開催するスポーツ・健康産業総合展示会「SPORTEC」は昨年、スポーツ用品やウェアのメーカー、ヘルスケア関連企業など世界中から702社が出展、平日の3日間で4万6517人が来場した。

“終活”をテーマにした「エンディング産業展」では仏壇仏具や、葬儀・埋葬・供養に関するサービスなどを紹介する他、僧侶が見た目や立ち振る舞いを競う「美坊主コンテスト」や、業界で活躍する女性にスポットを当てる「供養女子コンテスト」などの他にはないイベントも話題になっている。会場のあちこちではメーカーとバイヤーなどが商談を行い、次々と新たなビジネスが生まれていく。

「会期中は出展社と来場者の宿泊で周辺のホテルや飲食店も賑わいます。展示会ビジネスは出展社も来場者も地域にとっても全部プラスになる。これだけWin-Winを作り出せる仕事は他にはない」と佐々木さんは話す。「ただ、展示会を取り仕切る私たちオーガナイザー(主催者)の能力が低いと、逆に全部マイナスになる。それだけに責任は重大です」

日本だけでビジネスをやることは元々考えていないと断言する。TSOでは現在、海外企業からの売上が10%。数年後には韓国や中国、シンガポールやマレーシアなどアジアをターゲットに展示会ノウハウを丸ごと輸出し、「10年後には海外売上を50%まで伸ばしたい」と意気込む。「人口が急激に減っていくこれからの時代、外貨を稼ぐしか私たちの生き残る道はありません」

香川を拠点にした海外展開。しかも佐々木さんは200軒の門信徒(檀家)を抱える寺の住職でもある。「葬儀や法要、境内の掃除もあるので週の半分は香川にいます」。出張は極力、葬儀が敬遠される友引に合わせるようにしているそうだが、「メールやテレビ電話が発達し、高松空港からは国際便も飛んでいるので、基本的に香川で全部できる。理解してくれる門信徒さんも多く、助かっています」

国内の取引先は関東圏の企業が6割を占めるため、東京に営業所を置いている。香川での業務は総務や経理に限られるが、「理想は香川から世界中に営業に行くこと。パソコンとプレゼンテーション能力さえあれば可能です」。わざわざ東京で高い家賃を払うのももったいないですから、と佐々木さんは笑顔で話す。

眞教寺の次男として生まれた。お寺のことは気にかけていたが、「おそらく2つ上の兄が継ぐんだろうと思っていました」

大学卒業後の1998年、国内最大手の外資系展示会会社に入った。「いくらテクノロジーが発達しても、人と人が介する展示会ビジネスは100%なくならないと考えたんです。ダメならすぐ辞めようと思っていましたが、この業界に縁があったんですね」

入社して3年ほど過ぎた頃、つらい出来事があった。兄・潤也さんが交通事故で亡くなった。「ショックでした。私は東京で、兄は香川で仕事をしていて、たまに顔を合わせた時は一緒に飲みにも行っていました」。必然的に将来は佐々木さんが寺を継ぐという話になった。「そこから、会社に雇われる形ではなく自分で事業をやらなければと考え始めました」

2003年、会社の仲間らとともに展示会会社を設立。さらに11年に独立し、TSO Internationalを立ち上げた。ところが、再び予期せぬことが起こった。父・健治郎さんが急逝したのだ。心の準備もできていないまま、眞教寺の住職になった。「突然だったので、父から何も引き継げていませんでした。町内の別のお寺さんにいろいろ教えてもらうことから始めました」

住職を務めるとなると、自分が不在でも会社が回るようにしなければならない。社員に出社を義務付けず、結果に対してコミットするやり方を取り入れた。会議や打ち合わせは必要最低限におさえ、「会社の風土を変えました。社員との信頼関係があれば可能だと思いました」

眞教寺の開基は1600年頃とされる。地域貢献がないと400年の伝統は守れない。カフェ「萬燈珈琲店」を寺の隣りに作ったのは、地域の人たちの居場所づくりの第一歩だと説明する。「カフェやお寺は、セミナー会場にも集会場にも宿泊所にも変化させられる。親御さんが働きに出て家で一人でいる子や、一人暮らしのお年寄りの居場所として、両方が掛け算で作用していけばと思っています」

兄と父の死があって今がある。「人の生き死にというのは人間の大きな部分を動かし、それを乗り越えた時には力になるんだなあと思います。死は御縁の始まりなんですよ」と、しみじみと話す。

「展示会会社にとって、今は強力な追い風が吹いています」。インバウンド(訪日外国人)の増加。国が成長戦略の一つとして推進しているMICE(企業ミーティング、国内・国際会議、展示会など)誘致の動き。それに伴い、大阪や愛知など全国各地で国際展示会場建設の気運が高まっている。「日本だけでなく、アジア各国でも展示会場はどんどん増えています」

佐々木さんには夢がある。いつか、地元香川で大きな国際展示会を開くことだ。「そのためには大規模な展示会場が絶対に必要です」

企業や地域、行政の理解なくして環境は整わない。発言力や存在感を増すためにも、会社をもっとパワーアップさせ、まずは上場を実現したいと力を込める。

「東京ビッグサイトもできたばかりの頃は周りに何もなかったのに、今では巨大な街になりました」。MICEビジネスで香川に世界中から多くの出展社や来場者がやってくる。ホテルや交通など周辺産業も賑わい、新たな雇用も生まれる。そんな未来を思い描く。

「コツコツと力をつけていき、地元で展開するビジネスと世界で展開するビジネス、2つの軸でやっていきたいと思っています」

篠原 正樹

  • 1974年 高松市国分寺町生まれ
  • 1993年 高松第一高等学校 卒業
  • 1998年 明治大学法学部 卒業
    Reed Exhibition Japan 入社
  • 2003年 独立系展示会会社設立 取締役
  • 2011年 TSO International設立 代表取締役
  • 2013年 眞教寺 第15世住職
  • 所在地
    【香川オフィス】
    高松市国分寺町新居852
    TEL:087-874-1096
    【東京オフィス】
    東京都新宿区荒木町20-21
    インテック88ビル9F
    TEL:03-5363-1701/FAX:03-5363-0301
    設立 2011年4月1日
    資本金 500万円
    従業員数 31人
    事業内容 展示会、イベント、カンファレンス及びセミナーの主催・企画・運営
    飲食事業(萬燈珈琲店)他
    関連会社 SPORTEC株式会社
    株式会社ウェルネッサ
    地図
    URL http://www.tso-int.co.jp/

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Photo:T.Nakamura

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