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さぬき味探訪

VOL.221 2017年7月20日

今でも、小学校の農業体験で使われる田植定規。香川県に住んでいるととてもなじみの深いことなのですが、実はこの田植定規は香川県独特の民具であることはあまり知られていません。

香川県の農業の命題は「狭い農地から効率的に収穫を上げるか」ではないでしょうか。特に農業が機械化されるまでは、温暖な気候を利用し、1年で麦と米の二つの作物を作りこなし食料を確保してきました。昭和初期には、麦と米の作付面積がほぼ同じであったことからも、かなり効率的な農業を営んでいたことが考えられます。

しかし、麦の収穫期は6月上旬(麦秋至※)で、田植えのリミットは7月上旬(半夏生※)であることから、僅か1カ月の間に麦刈り、田植えの準備、そして田植えと、農作業が一時期に集中します。

その中、明治38年には香川県が正条植(整然とした田植の方法)の奨励を施策として推し進め、明治41年には正条植の割合が100%となりました(表1)。また、機械式の田植機がまだ開発されていない昭和20年代後半では、全国では縄や水田に線を引いて整然と植える方法などが取られる中で、唯一香川県は定規による植え付けが100%と群を抜いて高いのも特徴です(表2)。このような先人の努力の結果、香川県における水稲の反収(1反〈1000m²〉当たりの収量)が飛躍的に伸び、大正時代には全国3位となりました(表3)。

この立役者が串田式正条田植器です。この田植定規は小学校の校長を務めた三木町の串田太市氏が明治39年に商標登録し、県内で爆発的に普及しました。「ベテランの女性は1日で1反を植えた」と言われるほど高効率な田植えが可能となりました。

私も実際にこの田植定規を使った田植えに挑戦してみました。残念ながら最後の方は体が悲鳴を上げ、6時間で0.5反が限界でしたが、1日1反というペースはあながち間違いではないと感じました。また、一人1台を使って効率的に作業できること、未経験の小学生でも整然と植わるように技術の習熟度に依存しないことなど、手植え式田植方法の中では最も進化した手法ともいえるのではないでしょうか。

※いずれも季節を表す言葉七十二候の一つで、「麦秋至」は6月1日頃、「半夏生」は7月2日頃を指す。

串田式正条田植器はまさに香川県の農業の課題とその解決方法を具現化した民具であり、今なお現役としてその存在感を発している生きた民具であると感じて止みません。

香川県の食文化は非常に独特なものがあります。食文化の成立を考えるにはその素材、つまり農業の視点がなくてはなりません。これから数回は、改めて香川県の農業が抱える命題を整理し、香川の農業と食文化の関連性を見つめてみたいと思います。

高松市市場業務課 主査
野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん

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さぬき美探訪とは

美術館や博物館の学芸員と野菜ソムリエが香川が誇る「美」と「味」をご紹介します。



讃岐を歩く

まんのう町塩入を歩く。甘柿であろうと渋柿であろうとも、柿色は目に鮮やかだ。二十四節気の「大雪」を迎え、そろそろ柿の季節も終わる。

Photo:T.Nakamura

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