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プライムパーソン

VOL.225 2017年9月21日

2006年、綾田さんが初めて支店長になった栗林支店。昨年3月に新築開店した=高松市花ノ宮町

カスタマーオリエンテッド(顧客志向、顧客第一主義)。今年4月、百十四銀行の頭取に就任した綾田裕次郎さん(58)が大事にしている理念だ。「企業が都合の良いものをつくってお客さんに売る時代は終わった。これからはお客さんや市場に必要とされるものを提供することが何より重要です」

かつて祖父と父も務めた百十四銀行の頭取を、綾田さんは駅伝ランナーに例える。「中小企業の社長さんはマラソンランナー。数十年のスパンで物事を考えなければならないが、私たちは違う。先輩方から受け継いだタスキを握りしめ、与えられた区間を走り抜くんです」

マイナス金利、全国に先駆けて進む人口減少に少子高齢化。まさに今、“心臓破りの坂”を駆け上がっているところかもしれない。しかし、綾田さんは「一つでも順位を上げて次の世代へタスキを繋ぐ。倒れるまで走り抜く」と強い覚悟で前を見据える。

「一番大事なのは、行員が納得できる職場環境をつくることじゃないかと思う。行員が不満を持っていたのでは、お客さんを喜ばせることなんて、とてもできません」

頭取就任後、綾田さんがまず着手したのが「職場環境の改善」だ。「人事」「福利厚生」「職種選択」の3つをポイントに挙げ、次々と新たなやり方を導入している。

年に2回行われる支店長試験。これまでは最初に筆記試験があり、その後、ディスカッション試験、頭取や専務などとの役員面接に臨むという流れだった。だが、綾田さんは筆記試験をやめることにした。「実績も人望もあるのに、難しい筆記試験をパスできないがゆえに次へ進めないことがあった。それを何とかしたかったんです」。決して恒久的に筆記試験をなくすわけではなく、一つのチャレンジとしてやってみることにした、と補足しながらもこう続ける。「支店長に求められるのは、部下たちに『支店長に恥をかかせるわけにはいかない』『この支店長の下で頑張ろう』と思わせるような人間性。でも、それは筆記試験で測ることはできません」

福利厚生では、育休や短時間勤務など女性行員や子育て行員向けの制度を拡充した。将来的には企業内保育所の設置も検討している。「女性に優秀な人材が多いのが、百十四銀行の特長の一つです。女性のキャリアアップと子育て支援には今後、特に力を入れていきたいと思っています」

職種選択については、6月から「マイスター制度」を始めた。「法人営業」「預り資産」「ローン」「外為」など6つのコースで、行員自身が自分で進みたい道を決められるというものだ。「本当はこれがやりたいのにこっちへ回された、ということも現場では起こっている。できる限り、やりたいことをやらせてあげたいと思っています」。だが、この制度には続きがある。「誰でも何もしなくても好きなことができるというわけではありません。『こういう資格を取って、こういう勉強をしたので、これをやらせてください』というのを認めてあげましょうという制度です」

行員が成長できるよう様々な仕組みをつくることで、「百十四に勤めて良かった」と実感できる銀行になれる。それが、お客さんに「百十四と取引して良かった」と思ってもらうことに繋がっていく。これが綾田さんが描く「カスタマーオリエンテッド」の方程式だ。

実は化粧品関係の会社に入りたかった、と打ち明ける。「高価だが、女性を美しくする。こういう商品を扱う会社は絶対に成長するだろうと思っていました」。だが、地元に戻ってほしいという親の希望もあり、大学卒業後に帰郷。百十四銀行に入った。

綾田さんの家系は、百十四銀行と極めて縁が深い。祖父・整治さん、父・修作さんに続く3代連続での頭取就任。それだけでなく、「祖父は母方の両親の面倒も見ていたので、曾祖父母、祖父母、両親、私、私の子どもと、5代にわたって百十四からの給料で育ててもらったことになる。そういう意味でも会社の役に立たなければという思いは強いですね」

入行後、特に印象深いのは29歳の時に経験したアメリカ留学だ。社内海外留学制度の第1号。ニューヨークのロチェスター大学で2年間、ファイナンスや経営学を学び、MBA(経営学修士)を取得した。「株価はどうやって形成されるのかなど今となっては常識ですが、当時としては最先端の授業ばかり。課題や試験はとても難しく、特に1年目は毎晩夜中まで勉強していました」。同じ時期に日本の企業から10人ほどが留学していた。銀行、商社、証券取引所など業種は様々。今も続く留学仲間との付き合いもまた貴重な財産だ。「課題で分からないことがあれば教え合ったりしていました。あれから30年近くが過ぎ、皆それぞれ会社の主要ポストについている。東京でたまに会って飲むのも楽しみの一つです」

祖父や父が頭取だった頃、仕事の話をしたことはほとんどないそうだ。「立場が全然違いますから」と目を細めるが、自身がその立場になって改めて感じたことがある。「私も常務や専務を務めましたが、頭取と比べたら天と地ほどの差があると思う。預金者、何千人もの行員やその家族。祖父も父も、これだけのものを背負ってきたのかと思いますね」。綾田さんは口元を引き締める。

四国4県の第一地銀、百十四(香川)、阿波(徳島)、伊予(愛媛)、四国(高知)でつくる包括提携「四国アライアンス」が4月から本格的に動き始めた。4行でノウハウや強みを共有。販路開拓などを求めるそれぞれの取引先企業を繋げるビジネスマッチングでは、今後3年間で紹介件数4000件、成約率20%を目指している。「現在は各行それぞれの顧客登録を少しずつ積み上げている段階。まだまだこれからです」

決算発表の記者会見を行う綾田さん=5月12日
 
 

地方経済の疲弊や日銀によるマイナス金利政策の影響で、関東、近畿、九州など各地で地銀の再編(経営統合)が進んでいる。そういった中、全国的にも注目を集める四国アライアンスだが、綾田さんは「この手法で、それぞれの銀行が儲かるようになるという話ではない」と強調する。「大義は『四国創生』。まずは、四国に暮らす人や企業、四国自体をもっと元気にしようというアライアンス(提携)で、そういう意味で言えば、これも『カスタマーオリエンテッド』です」

行員たちに求める姿がある。“侍”になることだ。「自己鍛錬する」「考える」「信じたことを実行する」「実行したことに責任を持つ」。この4つを持ち合わせているのが、綾田さんが考える侍だ。「何かを問われた時、ネットを見ればすぐに答えは出るが、それは違う。もっと自分で考えて、お客さんに10を要求されたら、期待以上の12や15にして返せる人間になってほしいと思います」。失敗したことを挙げると切りがない。だが、その失敗があったからこそ今がある、と綾田さんは話す。「何もしないと何も起こらないんです。失敗しない分、成功もしない。自分で考えて、チャレンジする。そういう意味ではやはり“侍”になって、一歩を踏み出してほしいですね」

篠原 正樹

  • 1959年 高松市生まれ
  • 1982年 慶應義塾大学法学部 卒業
    百十四銀行 入行
  • 2006年 栗林支店長
  • 2010年 営業統括部長
  • 2012年 執行役員東京支店長
  • 2014年 常務執行役員
  • 2016年 代表取締役 取締役専務執行役員
  • 2017年 代表取締役 取締役頭取

所在地
高松市亀井町5番地の1
TEL.087・831・0114
創業 1878年11月1日
総資産 4兆9049億円
資本金 373億円
従業員数 2327人(2017年3月31日現在)
店舗数 124店舗(本支店103、出張所21)
海外駐在員事務所 2(上海、シンガポール)
地図
URL http://www.114bank.co.jp/

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讃岐を歩く

まんのう町塩入を歩く。甘柿であろうと渋柿であろうとも、柿色は目に鮮やかだ。二十四節気の「大雪」を迎え、そろそろ柿の季節も終わる。

Photo:T.Nakamura

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