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とっておき KAGAWA

VOL.231 2017年12月21日

県産材の家づくりを支えた人たち。
左からかがわ木材加工センター代表取締役の赤松孝明さん、佐藤利恵さん、杏ちゃん、珀(はく)くん、
佐藤直人さん、菅社長、豊田均さん、富家さん。撮影場所の豊田さんの山は手入れが行き届き、日の光が差し込む

  • 香川は森林面積全国45位、森林率37位と産出量は少ないものの、県産ヒノキは品質が優れているといわれる。そのヒノキの多くが今、住宅の柱材として使える樹齢を迎えた。
  • そこで、県産ヒノキの消費拡大に力を入れ始めた県、森林を守り育ててきた林業家、10年以上前から「地元の木を地元で使う」活動を続けてきた人たちを紹介する。

住宅の柱として使えるようになる樹齢31~35年の木が、人工林の中で一番大きい面積を占めている現在「香川のヒノキは利用期を迎えています」とみどり整備課の富家有希さんは言う。

香川県の木材の歴史を振り返ると、戦後はげ山化していた森林を住宅建築等の需要増加に応えるため国を挙げて植林が行われ、香川ではマツを集中的に植林した。しかし1975年ごろから松くい虫で壊滅的な被害を受けたため、代わりにヒノキを植林。その結果、香川県産材の成長は他県に比べて15年ほど遅れた。

その間の需要をまかなったのが外国産材だ。外材に依存せざるを得なかったことで県産材が流通する体制が失われ、ようやく木が成長した今も消費量はわずか。外材の価格に押され木材価格が下がったこと、加えて燃料としての木材需要が減少して採算が取れなくなったことで山が放置され荒れていった。

「山が荒れると土砂災害を防ぐ機能が弱くなる、水源が守れないといった弊害が出てきます。だからこそ県産材を県内で消費する循環を作り、森林整備を進める必要があるんです」。香川の林業を守るため、県では2011年に県産木材の加工拠点となる「かがわ木材加工センター」の整備を支援。県産ヒノキで家を建てる際に補助金が出る住宅助成事業など、普及に力を入れている。

香川で新築される戸建てのうち、木造住宅の人気は高いが、香川の場合多くが外材だ。「建築の仕事をしていながら、材料となる木がどこの産地なのかということまで考えていなかった」と株式会社菅組代表取締役社長・菅徹夫さんは振り返る。それが「近くの山の木で家をつくる運動」を知り意識が変わる。02年には大工、家具店、林業家とともに「讃岐の舎(いえ)づくり倶楽部」を立ち上げた。

活動の中で、荒廃している山の現状を知る。同時に、外材を使えば輸送に大量のエネルギーを消費すること、コストの安い外材の中には違法に伐採され環境破壊につながっているものが多いことも知った。

そこで家を建てる時、大黒柱となる木の伐採に施主や一般参加者が立ち会える「大黒柱伐採ツアー」を定期的に開催するようになった。「活動ができるのは、専業林業家・豊田均さんの存在が大きい」と菅さん。豊田さんは木が何千本とある山で、節が出ないよう若木を1本1本枝打ちし、立木の間隔を適正に保つため間伐を行う。そんな生産者がいることや丁寧に手入れされた山の美しさを、多くの人に知ってほしいと言う。

「家は木造がいいとか、国産材でなければというわけではありません。ただ、選択肢の一つとして地元の木のことを知っておいてほしい」。菅さんたちの活動は、今までかけ離れていた私たちの暮らしと山をつないでいる。

讃岐に多い「葉たばこ乾燥小屋」に使われていた。
通風がよくて、夏も涼しい

現在は柱を壁の中に隠す工法が多いが、
1階に美しい柱を4本並べて配置。
佐藤さんが好きな“真っ直ぐな構造美家”に通じると言う

県産ヒノキの大黒柱
玄関扉は佐藤さんが気に入っている部分の一つ。

「どちらかというとコンクリート打ちっぱなしのような直線の構造美が好きだし、県産材について詳しいわけでもなかった」と話す施主の佐藤さんが、家の構造材に県産材を使ったのは、菅組が新聞広告に掲載した仁尾の街並みの写真を見て、さらにホームページで「讃岐の舎づくり倶楽部」を知ったのが始まり。「10年以上も前から活動を続けていることに驚きました。“風景に溶け込む家”という菅社長の考えにも共感して。だったら菅組さんのコンセプトを再現するような家にしようと思ったんです」

こうして始まった家づくりは、採光や通気のために屋根の上に設ける「越屋根(こしやね)」のほか、焼杉、土佐漆喰(じっくい)、日本瓦など、香川の気候に合った素材選びが特徴。大黒柱を含む6本の柱や構造材、床材、玄関扉には県産ヒノキを使った。家づくりの中で生産者の豊田さん、かがわ木材加工センター代表取締役の赤松孝明さんらと出会い、実際に豊田さんの山にも家族で訪れた。

「木を育てる人、製材する人、加工する人、大工さん・・・多くの人と関わることで、この家は香川の山につながっているんだと実感できました」。わが家の木はどこの山でどんな人が育てた木なのか。それを知ることで、本当に愛着が湧く特別な家になったと佐藤さんは言う。

とっておき KAGAWAとは

人、自然、文化、伝統芸能・・・香川の魅力を発掘、紹介します。



讃岐を歩く

豊かに稔る

観音寺市大野原町にある豊稔池を歩く。その名は「水不足に苦しむ大野原の農地が、豊かに稔ることを願って」付けられたという。古城のように威風堂々たる堰堤は、国の重要文化財に指定されている。

Photo:T.nakamura

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